整形外科・リハビリテーション科
脊椎内視鏡手術

診療時間
午前(9:00~12:00) × × ×
午後(2:00~ 5:00) ×
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午前
(9:00~
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午後
(2:00~
5:00)
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「脊椎外科」とは?

活動の制限によるQOL(生活の質)の低下を支えます

背骨(脊椎)に由来する疾患を専門に診療する分野のこと。脊椎の構造は、頸椎・胸椎・腰椎・仙椎が、椎間板・椎間関節・靭帯によって連結していて、人体の中でもデリケートな部位です。体幹を支える役割はもちろん、脊柱管内の脊髄・神経の保護等も担っているため疾患の種類はさまざま。当院は、内視鏡を用いた脊椎手術に対応できる県内でも数少ない医療機関です。

脊椎外科で大切にしていること

頚椎、側弯、腰椎など多岐にわたる脊椎疾患に対して、最小侵襲手術(内視鏡手術)をはじめとする高度な専門医療の提供で患者さんを支えます

近年の目覚ましい医療技術の進歩によって、脊椎手術にも内視鏡を用いた低侵襲手術が広まりつつあります。低侵襲とは患者さんのお身体への負担が少ない治療のことを指します。しかし、その難易度の高さから、限られた病院でしか行われておらず、群馬県にお住まいの多くの患者さんは、都内まで脊椎内視鏡手術を受けに行かれる方が大半でした。
当院の「脊椎外科」では、低侵襲な脊椎外科手術を県内で安心して受けていただくため、2019年1月より脊椎内視鏡手術をスタート。執刀医を務める真鍋医師は、「高度な専門医療を群馬へ」という熱い想いを胸に、都内有数の医療機関にて磨いたスキルを存分に発揮しております。現在は、「腰椎椎間板ヘルニア」「腰部脊柱管狭窄症」の治療に内視鏡を用いて、正常な筋肉へのダメージを最小限に抑えることで、出血量や術後の痛み等を劇的に軽減。また、術後早期から離床が可能なため、従来の手術法では約3週間〜4週間の入院期間を約1〜2週間に短縮し、多くの患者さんが望む「早期退院・早期社会復帰」を実現しているのも特徴です。今後は、脊椎内視鏡下手術によって対応できる疾患領域を広げていくと同時に、県内の若手医師達にも専門手技を継承し、全国から注目を集める専門病院としての地位を確立していきたいと考えております。

症例数の多い代表的な疾患と、その治療方法

治療実績の多い疾患

腰椎椎間板ヘルニア

腰部脊柱管狭窄症

変性すべり症・
分離すべり症

頚椎症性神経根症

頚椎症性脊髄症

頚椎椎間板ヘルニア

後縦靭帯骨化症
(頚椎・胸椎・腰椎)

その他の疾患

側弯症

腰椎変性側弯症

脊柱変形

脊椎圧迫骨折

腰痛症

後弯症

など

腰椎椎間板ヘルニアとは

腰部の椎間板が飛び出して神経を圧迫し、腰や下肢にしびれや痛み等が生じる疾患のこと。足の麻痺や冷たさ、膀胱直腸障害を引き起こすこともあります。
突然発生するヘルニアと、慢性的にじわじわと生じる場合があります。

治療方法

多くの場合、内服薬・ブロック注射等で症状を緩和することができます。生活に支障が出ている場合には、ヘルニアを取る手術を行います。当院では内視鏡を用いた低侵襲手術に積極的に取り組んでいます。

腰部脊柱管狭窄症とは

神経が通る脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されて腰や下肢に痛み・しびれなどが生じる疾患のこと。足の麻痺や冷たさ、膀胱直腸障害を引き起こすこともあります。休憩しなければ歩けない間歇跛行(かんけつはこう)を生じることもあります。しゃがんだり、前屈すると血管や神経の締め付けが開放されるため、再び歩けるようになりますが、長距離は歩けないことが特徴です。
すべり症(背骨がずれる)で、脊柱管が狭くなった場合にも起こります。

治療方法

内服薬・ブロック注射・装具・リハビリ等の保存療法での改善を目指します。改善されない場合は、手術を検討します。手術法は、「固定術」か「除圧術」を疾患の状態を考慮して選択し、当院では内視鏡を用いた低侵襲手術に積極的に取り組んでいます。

頚椎症性脊髄症・神経根症とは

頚椎が変形することを頚椎症といい、頚椎症によって脊柱管(神経の通り道)にある頚髄(脊髄)が圧迫される病気を「頚椎症性脊髄症」といいます。
頚髄(脊髄)から出てきて、首から手指までつながる神経根が圧迫される病気を「頚椎症性神経根症」といいます。
脊髄症の場合、四肢(手足)のしびれや痛み、手の細かい動作 (書字・ボタンかけ・箸を使うこと等)がしづらくなったり、歩行障害や膀胱直腸障害を生じることがあります。

治療方法

圧迫が軽度の場合、内服薬やリハビリ等の保存療法を行いますが、症状の程度や進行具合により手術を検討します。手術法は圧迫を取り除く「除圧術」を行いますが、不安定性や後弯変形を合併する場合には「固定術」の併用も考慮します。

側弯症とは

背骨の配列を正面からみたときに、右や左に曲がっている状態で、弯曲の角度が10°以上であると側弯症と診断します。側弯症は手術が必要と判断されるような大きな角度(40~50°以上)になっても背中の痛みなどの症状がでないことがありますが、進行すると健康に影響を及ぼす障害 (外見上の異常、呼吸器症状、心理的ストレス、痛み、神経症状等)を引き起こすことがあります。

側弯症は成長期に進行することが多く、特発性側弯症に分類される側弯の多くは骨成長が成熟に達すると急速な進行を来すことは少なくなります。しかし、他の病気を合併していたり、大人になった後にも進行する側弯症もあり、自分の判断で通院をやめてしまった結果、数年後に大きな変形となってわかることもあるので、病院でしっかりと診察してもらいましょう。。

近年、遺伝子研究が盛んに行われ、思春期特発性側弯症の発症や進行にはいくつもの遺伝子が関係していることが分かってきています。先天性側弯症でも、約10%の特定の遺伝子が原因で発症することも明らかになりました。すべての遺伝子が明らかになっているわけではありませんが、ご家族に側弯症の方がいる場合には、念のためお子様の背中を専門医に調べてもらうほうが安心だと思われます。

側弯なし

側弯あり

治療方法

1. 装具をつけないで経過観察

成長期に20~25°未満の軽いカーブの場合には、数ヶ月ごとの定期的なレントゲン検査と専門医による診察を受けることが大切です。進行した場合には装具治療に移行します。

2. 装具治療

科学的に証明された唯一有効な保存療法であり、一般的に側弯が20~40°くらいの中等度のカーブの場合には、進行予防のために装具療法を行います。装着時間が長いほど効果があると言われています。成長が止まったら、徐々に装具装着時間を減らし、終了していきます。身長や側弯の変化が大きい場合には装具を再作成します。

3. 手術治療

高度の側弯症の場合には、身体の変形を矯正するために手術を行います。リスクをゼロにすることはできませんが、適切な予防や治療を行うことにより、手術治療の安全性は向上しています。

側弯症の治療は長期間にわたることもあり、子供も親も大変ですが、根気よく正しい治療と予防を行いましょう。

脊椎外科 医師紹介

名誉院長
柘植 和郎

日本整形外科学会認定 整形外科専門医
【プロフィール】
名誉院長という重職に就きながら日々臨床の場に立ち、脊椎外科の治療実績の向上に大きく貢献。「患者さんのために」という一心で、早期退院につながる新しい医療技術を取り入れ、地域の脊椎外科医療の先陣を切る病院を目指している。

副院長
脊椎外科センター長 真鍋 和

医学博士(2015 年 群馬大学にて取得)
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
日本整形外科学会認定運動器
 リハビリテーション医
日本脊椎脊髄病学会認定 指導医
脊椎脊髄外科専門医

脊髄モニタリング認定医

日本整形外科学会認定 

 脊椎内視鏡下手術 技術認定医

義肢装具等適合判定医
臨床研修指導医
CSRS-ES
 (国際頚椎学会 ヨーロッパ)メンバー
CSRS-AP

 (国際頚椎学会 アジア・パシフィック) メンバー
日本脊柱変形協会 (JSDI) メンバー
AOSPINEフェローシップ

 (スウェーデン ウプサラ大学留学、2016)

【プロフィール】
「日本脊椎脊髄病学会 指導医」として若手医師の育成にも精力的に取り組んでいて、さまざまな学会に所属し、国内外での学会活動も毎年行っている。全国屈指の「脊椎内視鏡手術」の実績を持つ都内の病院で技術を磨き、平成31年1月より当院にて脊椎内視鏡下手術を執刀。

  脊椎外科センター 角田 大介

医学博士(群馬大学:甲)

日本専門医機構認定 整形外科専門医

日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医

日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医

 

【プロフィール】

スタンダードかつオーダーメイドな治療。エビデンス(科学的根拠)に基づきつつ、その人にとって適切な医療とは何か、常に客観的な視点を心掛けている。

お身体にやさしい低侵襲な治療をできるだけ優先しつつ、安全・確実な医療の提供を通じて社会に貢献していきたい。

参考サイト

内視鏡下手術について

内視鏡下手術は、従来の手術内容をより小さい切開で安全に行えます。従来の切開手術は50~70mm以上の傷口でしたが、内視鏡下手術ではわずか16~18mmで済みます。術後の痛みが少なく、手術翌日〜2日目位から歩ける身体に優しい手術で、術前の患者さんの重症度で変わることはありますが、入院期間は約1〜2週間程度と短く早期社会復帰が可能です。 また外科的手術には、手術をした部分が感染する(バイ菌が繁殖する)リスクがありますが、内視鏡下手術の創部感染率は、従来の切開手術に比べて感染率が顕著に低いことが報告されています。 内視鏡下手術の代表例として、MED、MEL,ME-OLIFがあります。

MED:内視鏡下腰椎椎間板摘出術とは

MEDとは、Micro Endoscopic Discectomy、内視鏡下・腰椎椎間板摘出術の略語で、中〜重度の腰椎椎間板ヘルニアに対する手術方法です。これは1995年にアメリカで開発されました。
MED手術はうつ伏せで行います。全身麻酔を行い、16-18mm程皮膚を切開します。切開した小さな穴に特別なスコープを設置し専用の手術器具を挿入します。TVモニターを見ながら、ヘルニア等を取り除き、神経の通り道を広げます。出血が少なく、低侵襲な治療で、術後の痛みが従来法と比べ少ないのが特徴です。

MEDのメリット

1

従来の手術のように、背中の皮膚や筋肉を大きく切る必要がなく、傷が小さい (16〜18mm弱)。

2

手術後の痛みが少なく、回復も早く、手術部分の細菌感染の危険性が少ない。

3

退院が早く(約1週間)、日常生活への復帰が早期に行える。

MEL:内視鏡下腰椎椎弓切除術とは

MELとは、Micro Endoscopic Laminectomy、内視鏡下・腰椎椎弓切除術の略語で、腰部脊柱管狭窄症に対し、MED(内視鏡下腰椎椎間板摘出術)に準じた内視鏡を使用し、狭くなった脊柱管を広げる手術方法です。
MEL手術はうつ伏せで行います。全身麻酔を行い、16-18mm程皮膚を切開します。切開した小さな穴にチューブを設置し内視鏡や専用の手術器具を挿入します。TVモニターを見ながら、手順に従って神経の通り道 (脊柱管)を広げます。MEDと同様に、出血が少なく、低侵襲な治療で、術後の痛みが従来法と比べ少ないのが特徴です。

MELのメリット

1

従来の手術のように、背中の皮膚や筋肉を大きく切る必要がなく、傷が小さい (16〜18mm弱)。

2

手術後の痛みが少なく、回復も早く、手術部分の細菌感染の危険性が少ない。

3

退院が早く(約1週間)、日常生活への復帰が早期に行える。

ME-OLIF:内視鏡下腰椎側方椎体間固定術とは

ME-OLIFとは、Micro Endoscopic OLIF、内視鏡下・腰椎側方椎体間固定術の略で、身体の側方から脊椎に到達する手術法のため、従来の背中側から筋肉を展開する必要がない手術法です。腰椎側方椎体固定術:OLIFは、米国では10年以上前から行われ、日本には2013年頃に導入されました。
従来はPLIF/TLIFといった、後方から骨(椎弓)を削って神経の圧迫をとり、椎間板にスペーサーを挿入する必要がありましたが、OLIFは側腹部からの小さな傷のため、従来法と比べ腰の筋肉への侵襲を最小限に抑えることが可能な手術法です。傷んだ椎間板の代わりにスペーサーと呼ばれる金属と骨を挿入します。従来の手術よりも大きなスペーサーを挿入することができるため背骨の安定性、骨癒合がしやすいこともメリットの一つです。

ME-OLIFのメリット

1

傷痕が目立ちづらい。

2

背骨についている筋肉を剥がさないため、脊柱の安定性を損なうことが少ない。

3

背骨の筋肉を剥がさないため、従来法と比べ術後の痛みが少なく、回復も早い。

4

退院が早く(10日〜2週間程)、日常生活や仕事への復帰が早期に行える。